リンゴのお酒シードル(ハードサイダー)のおいしい飲み方、楽しみ方をご紹介
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シードル(アメリカではハードサイダーと呼ばれている)というお酒を聞いたことはあっても、どのような飲み物かよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、シードルの基本的な情報から、その種類や産地、楽しみ方まで詳しくご紹介します。ぜひこの機会にシードルの世界を覗いてみてください。
※FARM&CIDERY KANESHIGE(カネシゲ農園)では商品を「ハードサイダー」と呼称しておりますが、このコラムでは便宜上「シードル」と表記させていただいております。
シードルって?
ここでは、シードルとは何かを理解するために、主材料やアルコール度数、主な産地など基本的な情報ご紹介します。材料や作り方、味わいの魅力を知ることで、シードルへの興味が深まるでしょう。
シードルはリンゴで造るお酒
シードルは、主にリンゴを原料として発酵させて作られるお酒です。使われるリンゴの種類によって風味が異なり、甘みが強いもの、酸味が際立つもの、香り豊かなものなど、多彩な味わいが楽しめます。
リンゴの選別から始まり、丁寧に搾られた果汁をゆっくりと発酵させることで、シードル特有のフルーティーな風味が生まれます。
アルコール度数
シードルのアルコール度数は、一般的に3%〜9%程度とアルコール飲料の中では比較的低めです。そのため、気軽に楽しめるお酒として、多くの人に愛されています。
軽めのシードルはジュース感覚で飲めるため、アルコールがあまり得意ではない方でも、無理なく楽しむことができるでしょう。また、食事の合間に飲めば、シードルの持つ爽やかさが口の中をリフレッシュさせてくれます。
シードルの産地
シードルはフランスやイギリスを筆頭に、ドイツ、スペインなどのヨーロッパ各国やアメリカなど、リンゴの栽培が盛んな地域で古くから作られてきました。これらの地域はシードルの本場として知られ、多くの伝統的な製造者が今もなおその風味を守り続けています。
一方、日本では近年になってシードルの製造が広まってきました。特に長野県や青森県、北海道、岩手県などのリンゴの産地では、地元産のリンゴを使ったシードルが数多く生産されています。なかでも長野県の南信州は、シードル作りに力を入れており、「南信州シードル協議会」というWebサイトを運営し、南信州シードルバレーの実現を目指しています。
この地域で作られるシードルは、リンゴの個性がしっかりと感じられる深い味わいが特徴です。また、こうしたシードルは地域の特産品としても注目されており、地元の風土や農家のこだわりを感じられる一杯となっています。
長野県下條村のリンゴを使ったシードルはこちら
シードルの製造方法
シードルの製造方法はワイン造りと似ており、以下の工程を経てシードルは完成します。
- 熟したリンゴを収穫し、外気にさらして追熟させる
- 洗浄・破砕する
- 圧搾機にかけ果汁を絞る
- 圧搾した果汁をタンクに移し酵母を加え発酵を促す
- 発酵を終えたら果汁を濾過する
- 瓶詰めする
この発酵の過程で、果汁中の糖分が酵母によってアルコールと炭酸ガスに変えられ、密閉されたタンクの中で泡が発生するわけです。また、発酵に使う酵母や温度、時間の調整によって、シードルの味わいは微妙に変化します。さらに、発酵後に熟成させる期間を設けることで、味に深みが加わることもあります。
製造方式の違い 様々な製造方法
シードルの製造方式には、タンクでの発酵や瓶内での二次発酵などがあります。タンク発酵は効率的で安定した品質のシードルを作るのに適しており、リーズナブルな価格で提供されることが一般的です。
一方、瓶内で二次発酵を行う製法は、シャンパンの製法に似ており、よりきめ細かい泡と深い味わいを楽しめます。ただし手間がかかるため、価格はタンクで発酵したシードルより高価になる傾向にあります。
こうした違いによって、同じリンゴを使っていても、まったく異なるシードルが生まれるのです。製造者のこだわりが詰まった製法によって、多様なシードルの世界が広がっています。
シードルの歴史
シードルの歴史は古く、古代ローマ時代にはすでにリンゴを使った発酵飲料が存在していたといわれています。その後、中世ヨーロッパでシードルは広く普及し、特にフランスやイギリスの農村部では日常的に飲まれるお酒として親しまれてきました。
フランスでは主にノルマンディー地方、イギリスではヘレフォードシャー州やサマセット州などでシードル文化が育まれており、現在でもその伝統は受け継がれています。一方、日本にシードルが本格的に紹介されたのは比較的最近のことです。しかし、現在は長野県や青森県を中心に、徐々にその製造が広がりつつあります。
日本産のシードルは、その地域ならではのリンゴを使って作られているため、海外のシードルとはまた異なる風味を楽しめます。地域ごとの個性豊かなシードルを味わうことで、土地の風土や文化を感じ取れるのも、シードルの大きな魅力です。
シードルの種類はさまざま
甘さの程度や発泡の有無など、シードルの選択肢は多岐にわたり、その違いを知ることでより深く楽しむことが可能です。ここでは、それぞれの特徴をわかりやすく解説していきます。
スイート/ドライ/セミドライ
シードルは甘さによって「スイート」「ドライ」「セミドライ」と分類されます。
スイートシードル
甘みが強くて飲みやすく、デザート感覚で楽しむのにぴったりです。リンゴの自然な甘さが際立ち、ジュースに近い感覚で飲めるため、お酒の初心者にもおすすめです。
ドライシードル
甘さをほとんど感じない辛口のシードルです。発酵が進むことで糖分が完全にアルコールに変わり、シャープな酸味が楽しめます。食事と合わせて飲むのに最適です。
セミドライシードル
スイートとドライの中間に位置するバランスの良い味わいです。程よい甘さと酸味の調和が取れているため、様々なシーンにマッチします。
発泡タイプ/スティルタイプ
シードルには、一般的なシードルである「発泡タイプ」と、炭酸を含まない「スティル」タイプの2種類に分かれます。
発泡シードルは、軽やかな泡立ちが特徴で、口の中でシュワシュワと弾ける爽快感を楽しめます。乾杯の席やお祝いの場でも活躍するシードルです。
一方、スティルシードルは炭酸が含まれていないため、ワインのようにゆっくりとリンゴの風味が味わえます。発泡タイプよりも味わいが穏やかで、料理と合わせやすい傾向にあります。
アイスシードル
アイスシードルは、凍結したリンゴを使用して作られる特殊なシードルです。凍らせることでリンゴのエキスが濃縮され、甘みが増すため、非常に濃厚でリッチな味わいが楽しめます。
レストランではデザートワインのような位置付けで、特別なデザートとして提供されるほか、チーズと相性が良いとされています。
フレイバードシードル
フレイバードシードルは、リンゴ以外のフルーツやスパイスなどを加えて風味付けしたシードルです。例えば、ベリー系の果物やシナモンなどが加えられることで、より個性的で豊かな香りに変化します。
また、加えるフルーツなどで季節感を出しやすいため、季節限定の製品なども多く見られます。
ホットシードル
寒い季節におすすめなのがホットシードルです。シードルを温めて、シナモンやクローブなどのスパイスを加えることで、体を温める冬のドリンクとして重宝します。
ホットワインと同様に、寒い日の夜にリラックスするのにぴったりなドリンクです。リンゴの甘みとスパイスの香りが絶妙に調和し、心地よい暖かさが得られるでしょう。
FARM&CIDERY KANESHIGE(カネシゲ農園)では、様々なシードルを販売しています。詳細はこちら
他のお酒や飲み物との違い
シードルは他の種類のお酒や飲み物とは異なる独自の特徴を持っています。ここでは、ワインやビール、サイダーとの違いについて解説します。
ワインやビールとの違い
シードルはワインやビールと製造工程が似ていますが、原材料・アルコール度数・発泡性に関しては多少異なります。ここでは、その違いについて見ていきましょう。
原材料の違い
シードルはリンゴを原料としていますが、ワインはブドウ、ビールは麦芽とホップを使用して作られています。この原材料の違いにより、シードルはフルーティーで爽やかな風味に仕上がります。
アルコール度数
ワインのアルコール度数は通常12%前後、ビールは5%前後であるのに対し、シードルは3%〜9%程度です。そのため、シードルはワインより軽く飲みたいときや、ビールを飲むようなシーンに適しています。
発泡性
シードルには発泡性のあるものが多く、ビールに似たシュワシュワとした飲み心地がありますが、風味は果実由来の甘みや酸味でワインに近い部分も持っています。したがって、シードルはビールとワインの「いいとこどり」をしたものと、捉えることもできるでしょう。
サイダーとの違い
イギリスでは「サイダー(cider)」という言葉がシードルを指すことから、シードルとサイダーはしばしば混同されることがありますが、日本国内においては明確な違いがあります。
日本では「サイダー」といえば通常、甘みのある炭酸飲料(つまりソフトドリンク)です。このため、日本において「シードル」という名称は、アルコール飲料として区別されています。
また、サイダーは基本的にノンアルコールである一方、シードルはアルコールを含む発酵飲料であるため、飲む場面や目的も異なります。
シードルのおいしい飲み方
シードルの魅力は、爽やかなリンゴの風味と多様な楽しみ方にあります。ここでは、シードルをよりおいしく楽しむための方法について解説します。
おいしく飲めるおすすめの温度
一般的に、シードルは5℃〜7℃程度に冷やして楽しむのが最もおいしいとされています。ただし、甘口タイプは3℃、コクのあるタイプは10℃程度が良いとされているなど、シードルの種類や銘柄によって理想の温度は異なります。
また、この後に紹介する氷を入れる飲み方や、温める飲み方など、季節や目的によって温度を調整して楽しむことも可能です。
氷を入れる飲み方
暑い季節には、シードルに氷を入れる飲み方が好まれることがあります。氷を加えることで、さらに清涼感が増し、軽い口当たりになるからです。ただし、氷が溶けると風味が薄まるため、薄まりにくいように大きめの氷を使うようにしましょう。
また、氷を入れる際には、フルーツを一緒に加える方法もおすすめです。例えば、リンゴのスライスやミントの葉を加えることで、より爽やかな風味が引き立ちます。見た目にも華やかさが加わり、パーティーなどでも映える演出となるでしょう。
温めてホットシードルに
寒い季節には、シードルを温めて飲むホットシードルが最適です。シナモンスティックやクローブなどのスパイスを加えれば、さらに風味が豊かになります。
ホットシードルを作る際は、アルコールを飛ばさないよう、弱火でゆっくりと温めるのがポイントです。じっくりと弱火で香りを引き出しながら温めることで、豊かな風味が楽しめます。また、オレンジスライスやハチミツを加えると、さらに深い味わいに仕上がります。
ホットシードルは甘みが際立ち、体を芯から温めてくれるため冬の夜にぴったりです。
食事との合わせ方
シードルは食事との相性も抜群です。例えば、スイートシードルは、デザートや甘みのある料理と合わせるとお互いを引き立てます。アップルパイやクレームブリュレといった甘いものと特によく合います。また、甘みのあるカレーや、果物を使ったサラダなどとも相性が良く、料理全体の味を豊かにしてくれるでしょう。
一方、ドライシードルは脂の乗った豚肉料理やチーズと相性が抜群です。酸味が脂をうまくカットし、食事全体のバランスを整えてくれます。特に、ブルーチーズや熟成チーズのような強い風味のものと合わせると、シードルの持つフルーティーさが引き立ちます。
楽しみながら飲むためのポイント
ここからは、シードルをさらに楽しむためのポイントについて解説していきます。
ラベルを確認
シードルのラベルには、主に生産者(または産地)、原材料、容量、アルコール度数、収穫年、製造年等が記載されています。甘口か辛口か、発泡性の有無なども確認できるため、ラベルを見れば自分の好みに合った一本を選べるでしょう。
また、原料のリンゴの品種や製造方法も記載されている場合があります。例えば、ふじリンゴ使用と記載があれば、甘みが強く、フルーティーな味わいが楽しめると予想できますし、発酵方法がシャンパーニュ方式とあれば、スパークリングワインのような繊細な泡立ちが期待できます。
このように、ラベルを通じてシードルの個性を知ることで、選ぶ楽しみが増すでしょう。
発泡性や見た目の違い
シードルには発泡性のあるタイプとないタイプがありますが、発泡性のシードルは爽やかな口当たりが魅力で、特にお祝いの席に好まれます。見た目の色も、淡い黄色から濃い琥珀色まで様々で、風味は大きく異なります。
発泡性のシードルは、泡立ちの細かさや持続性も楽しむポイントの一つです。泡が細かければ細かいほど、口当たりが滑らかで、上品な印象を与えます。また、色合いの違いはリンゴの品種や熟成度合いによっても異なり、見た目からも味の違いが想像できます。
香りを楽しむ
シードルは香りも大きな魅力の一つです。グラスに注いだ後、軽く回して香りを楽しんでみましょう。リンゴ特有の甘い香りやスパイシーなニュアンスを感じ取ることで、味わいがさらに深まります。
特に、グラスを鼻に近づけたときの第一印象の香りと、口に含んだ後に広がる香りの違いを楽しむのがおすすめです。シードルによっては、リンゴだけでなく、ハチミツやシナモン、さらには花のような香りが感じられるものもあり、香りの複雑さがシードルの奥深さを教えてくれます。
味わう
シードルは、一口ずつゆっくりと味わうことで、シードルの持つ奥深さを感じ取りやすくなります。特に、酸味と甘みのバランス、泡の繊細さ、そして余韻の長さに注目すると、シードルの異なる表情を楽しめ、より一層その魅力に引き込まれるでしょう。
飲んだ後の余韻も重要です。シードルの持つ酸味や甘みがどのように残るか、そしてその持続性を楽しむことで、一本のシードルに込められた職人の技を感じ取れるはずです。余韻が長いシードルほど、しっかりとした味わいとバランスがあり、高品質であるといわれています。
カネシゲ農園のこだわり
南信州地域に位置するカネシゲ農園で作るシードルの原料となるリンゴは、糖度と酸度の絶妙なバランスを、そのまま果実に閉じ込めた「樹上完熟リンゴ」を使用しています。「樹上完熟リンゴ」とは、りんごが樹の上で完熟するまで待ってから収穫する栽培方法のことです。土作りからこだわり抜き、病害虫を防止するための農薬は過度な使用を控え、必要最小限度に抑えた減農薬栽培、有機肥料を使用した安心・安全な農法で育てています。
そのこだわりが多くの方々に伝わり、2018年に徳島で行われた「オーガニックエコフェスタ2018」という農産物の栄養価、旨み成分を競うコンテストにおいて、りんご部門で最優秀賞を受賞しました。
『安心・安全』を軸に、果物に本当に必要なことは何かを追求し、全国でも数少ない自家栽培・自家搾り、自家醸造を実現し商品を作り出しています。
FARM&CIDERY KANESHIGE(カネシゲ農園)のおすすめのシードル
カネシゲ農園では、FARM&CIDERY KANESHIGEというブランドで、様々なシードルを取り扱っています。ここでは、その中でも特に人気の高い商品を紹介します。
FARMER’S CRAFT CIDER 330ml
FARM&CIDERY KANESHIGEのフラグシップモデル。生食リンゴの「ふじ」単一で仕込んでおり、リンゴの自然な甘みと爽やかな酸味が特徴で、食事にも合わせやすいシードルです。
ふじの風味とドライに仕上げたキレのある味わいは、どのようなシチュエーションでも楽しめます。一口飲めば自然な甘みが口いっぱいに広がるでしょう。
JULIEN (LIGHT TASTE) 330ml
アメリカのニューイングランド地方に伝わる伝統的な家庭レシピに、カネシゲ的アレンジを加えてリリースした商品です。原料はリンゴのほか、レーズンを贅沢に、オーク樽の香りで熟成させています。
琥珀色の甘い香りとオーク樽のスパイス感ある風合いとレーズンから滲み出た深いコクがたまりません。リンゴのフルーティーさとレーズンの程よいボディ感、オーク由来の香り、香ばしさ、苦味が絶妙なバランスで表現された1本です。
そのほか、ハチミツと麦芽を使用した「MARY」や、焼肉専用の「NICK」など、個性的なシードルが数多くあります。また、季節限定の商品も取り揃えており、その季節ごとの味わいを楽しめると人気です。
FARM&CIDERY KANESHIGE(カネシゲ農園) シードルはこちら
まとめ
シードルは、そのシンプルで親しみやすい味わいから、初心者にも楽しみやすいお酒です。しかし、その一方で多様な製法や豊かな風味を持つ、奥深い飲み物でもあります。
フランスやイギリス、アメリカなどの海外のシードルも良いものが多いですが、日本の美しい風土が生んだ、FARM&CIDERY KANESHIGE(カネシゲ農園)の国産シードルにもぜひ注目してみてください。
日々のリラックスタイムに、食事のお供に、そして特別な日の乾杯に。シードルは、どのようなシーンにも寄り添い、あなたの時間をより豊かにしてくれます。本記事をきっかけに、自分だけのお気に入りのシードルを見つけ、その魅力に触れてみてください。
FARM&CIDERY KANESHIGE(カネシゲ農園)シードルはこちら